英語講演原稿作成のポイント
社会のオンライン化が進む近年、ZoomやRemoなどのビデオ会議ツールを使った「オンライン学会」が増えています。新型コロナウイルスの影響により中止や縮小が相次いだ学会や講演会も復活の兆しを見せており、海外の学会に参加する機会はますます増えると考えられます。国際的な学会で講演や口頭発表をするときは、あらかじめ英語の講演原稿を用意しておくと安心です。事前に原稿を繰り返し音読しておき、時間内に話し終えられるよう練習しましょう。
英語の講演原稿を書くときのポイント
論文のような硬い文体の原稿は、講演を聞く人にとっては理解しにくく感じます。できるだけ単純な文体を用い、関係代名詞等を多用せず、シンプルな文章で書くことを心がけましょう。
論文はあくまで書き言葉ですが、講演原稿は話し言葉として書くほうが聞き手が理解しやすいです。また、受動態だと文の構造が複雑になりやすいので、できるだけ能動態を用います。
例文:
You get three kinds of products.
This table shows…
As you can see, these genetic loci exhibited high levels of polymorphism.
長い単語が連続する文章は聞き取りにくく、読み上げるときも発音しにくくなるため避けましょう。原稿を書きながら音読し、リズミカルな文章を心がけます。また、講演原稿は細部まで書く必要はなく、概略のみを述べます。スライドを用意するときは、会場の最後列からでも読みやすいよう、行数を減らして文字サイズを大きくしましょう。
講演の本編の原稿だけでなく、前後の決まり文句も原稿上にメモしておくのがおすすめです。例えば、次のようなフレーズです。
例文:
Today, I’m going to talk to you about…
May I have the first slide, please?
Next slide, please.
In conclusion, …
May I have the lights, please?
なお、講演が終わった後に「以上です」のつもりで“That’s all.”と言うのは不適切です。一般講演の場合、講演が終わった後は“Thank you.”と言えば十分です。招待講演の場合は、“Thank you very much.”または“Thank you for your time.”などの決まり文句を言うのがよいでしょう。
講演原稿の音読練習
原稿を読みながらスピーチするときは、棒読みにならないよう注意しましょう。少なくとも10回は音読練習をして、5回以上はリハーサルをしましょう。その際、原稿を音読したものを録音しておき、再生して、すべての言葉が明瞭に聞こえているかチェックするのもよいでしょう。発音しにくい言葉や突っかかってしまうフレーズがあれば、次回以降は注意してゆっくり話すよう練習します。どうしても読みにくいようであれば、あらかじめ他の言葉に置き換えておくのも一つの手段です。
音読練習にあたっては、同じ研究分野のネイティブスピーカーの講演を繰り返し視聴するのもおすすめです。ネイティブらしいイントネーションや、専門用語の発音を学ぶのに役立ちます。
講演時間は分単位で決まっていることが多いので、時計やストップウォッチを用意し、時間内に読み上げられるよう練習します。原稿を読んでいる最中に、持ち時間を超過するかもしれないと気づいたときは、解説を割愛するなどして話す内容を減らします。原稿上に、万が一のときに割愛する箇所をあらかじめ決めておくのもよいでしょう。