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論文の影響力を高めたいなら、Twitterの利用も検討しよう

近年、「自らの論文の宣伝にTwitterを利用する」ことが増えています。実際、Twitterでのツイート回数により、より多くの人に引用されやすくなることが分かってきました。

論文は「引用」されてこそ意味がある?

近年、「プレプリント」や「オープンアクセス化」など、論文投稿の方法が変わりつつあります。しかし、論文は世の中に「出せば良い」わけではありません。自らの論文が「引用」されることは、研究者にとって名誉なことであり、引用が多いほど「生きた論文」であるとされています。そして、生きた論文こそが科学の発展に寄与するものでもあります。世界中の研究者同士は、必ずしも顔を合わせるわけではありませんが、論文を介して世代を超えたコミュニケーションが可能となります。しかし、後続の研究者に引用されない論文となると、公表はしたものの、影響力の低い論文となってしまいます。

引用される論文となるためには、より多くの人に、自分の研究成果である論文に興味をもってもらう必要があります。現在、その方法の一つとして、Twitterの利用が注目を集めています。

最近の投稿論文の規定として、Twitterの情報を入れるよう、指示されていることがあります。たとえば、アメリカ心臓病学会(以下、JACC)の論文規定には、タイトルページに電話、ファックス、e-mailなどのほかに、可能な場合は自らのTwitter情報を記載する、という記述があります。さらに、論文を要約した140文字以内でのツイートも、タイトルページに記載することとなっています。

「引用される論文」とTwitterの関係

では、実際にTwitterを使うことでどれほどの効果が期待できるのでしょうか。2021年1月、胸部外科ソーシャルメディアネットワーク(TSSMN)により、論文ツイートの被引用数への効果を調べたランダム化比較試験の結果が公表されました。

この試験では、合計112の代表的なオリジナル論文を記事1:1でランダム化し、「ツイートされる群」を、TSSMNのグループを介してTwitter上でツイートしました。その結果、ツイートされた群は、ツイートされなかった群と比較すると、「引用される回数」が4.4倍も多くなることが分かりました。また、論文の評価指数である「Altmetric Score」についてみると、ツイートされた群はツイートされなかった群よりも9.1倍高くなっています。

具体的なTwitterの活用

論文に対し、Twitterでのツイートが重要であることが分かりました。では具体的に、どのようにTwitterを活用すればよいのでしょうか。そのヒントは、2020年4月にアメリカの科学誌「PLOS ONE」にて発表された論文、「Using social media to promote academic research: Identifying the benefits of twitter for sharing academic work」にありました。

まず、1つの論文について何回もツイートすることが重要であることが分かりました。ツイートの回数が増えるほど、引用される回数が多くなることが分かりました。50回ツイートすると、引用回数は0.5回であることが示唆されています。

さらに、複数人で行った研究や、共同研究者に女性が含まれた研究の方が、Twitterを介した「プッシュ」の方法をとることで、インパクトファクターを高める可能性を示唆しています。逆に、Twitterを利用しても引用されにくいパターンとして「一人の男性による研究であること」が示唆されました。この論文では、学術出版物から研究を「引き出す」ための方法として他の人々による情報公開に依存するのではなく、Twitterによるツイートやリツイートを上手に利用し、自ら研究を「プッシュ」する必要があると述べています。

実際にツイートする際には、140文字の限界に注意しましょう。より多くの人に自らの論文に興味を抱かせるためには、さまざまな角度から「どのような研究なのか」を示したくなるでしょう。しかし、Twitterの規定として、1回のツイートの文字数は140文字まで、というものがあります。それならば、1回のツイートでたくさんのことをまとめて伝えるのではなく、何回にも分けてツイートしていくのも有効な方法です。

あるいは、図表を適切に利用したり、関連するキーワードをハッシュタグとして使用したりするのも良いでしょう。

まとめ

Twitterは、コンパクトなコメントを、全世界に向けて一斉に投げかけることができます。学会発表もさることながら、論文を発表したことをより多くの人に訴えることができる、有効な手段となりつつあるようです。

参考文献

表面科学 Vol. 29,No. 7,pp. 437-445,2008  e-Journal の現状と将来 ―表面科学講演大会特別講演より―
ELSEVIER JACC: CASE REPORTS
Does Tweeting Improve Citations? One-Year Results From the TSSMN Prospective Randomized Trial
Using social media to promote academic research: Identifying the benefits of twitter for sharing academic work

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