文献管理ソフトの老舗「EndNote」
さまざまな文献管理ソフトが有料・無料問わず登場していますが、歴史ある文献管理ソフトといえば「EndNote」です。Clarivate Analytics社(以前はトムソン・ロイター社のIP・Science事業)が開発しており、長年にわたって愛用者がいるソフトです。
EndNoteの利用フロー
EndNoteの大まかな利用フローは「文献データ(PDFファイル)の取り込み」「PDFファイルの管理、記録」「参考文献の出力」です。
「文献データの取り込み」では、ブラウザ上のPubMed、Web of Science、医中誌Webと連携して、検索結果に表示された文献データを直接取り込むことができます(ダイレクトエクスポート機能)。また、PubMed、Web of Scienceに対しては、EndNote上でも検索して取り込めます(オンラインサーチ機能)。
「PDFファイルの管理、記録」では、読んだ論文についてメモを残すことができます。メモはEndNote内の検索対象になるので、あとから必要な論文を探すときに便利です。また、PDFだけでなく、Word、Excel、PowerPoint、動画ファイルなども添付できます。最近の論文ではSupplementary Informationとして動画ファイルが掲載されることも珍しくありませんが、そのようなデータもEndNoteで一括管理できるのです。
EndNoteが最も威力を発揮するのが「参考文献の出力」です。Wordと連携して、投稿先のジャーナルの形式に合わせて参考文献リストを自動で作成できます。デフォルトでは約500種類のスタイルから選択でき、追加で最大7000種類以上のスタイルをインストールが可能。これだけでも論文作成で労力を大きく削減できるといえます。
近年追加された機能
2016年から販売されている最新版の「EndNote X8」では、最大100人のユーザーとライブラリを共有でき、関係者が多い共同研究でも文献情報の共有が容易になりました。共有ライブラリの編集履歴が残るので、誰がどの文献を追加したのか把握できるのも特徴のひとつです。
また、従来からの機能として、EndNoteアカウントを介してクラウド管理も可能であり、職場以外のパソコンやiPad専用アプリからアクセス可能です。
EndNoteは文献管理ソフトとしては比較的高額ですが、それに見合った機能が搭載されています。公式サイトでは30日間無料で利用できる試用版が提供されているので、試してみるのがよいでしょう。大学であれば生協で取り扱っています。