One Point English

医学英語論文の書き方マニュアル – 8:エポニム(2)

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One Point English:エポニムについて: ANA MANUAL OF STYLEからの情報 (Part 2)

誰もが、Nobel’s PrizeではなくNobel Prizeと言いますよね。
エポニムが非所有格に移行していっているのは、言語学的観点からも説明でき、英語の使い方のトレンドとも合致します。(遺伝医学の分野では標準になっています)

エポニムの所有格

米国ダウン症候群学会は、ダウン症候群は、Down’s syndromeではなくDown syndromeの表記を用いることを提唱しました。(Thumbs-up on Down syndrome? Copy Editor. April/May 1997:1,7) このマニュアルの旧版では、エポニマス・タームに非所有格を用いることを推奨し、実際に使用していました。

しかし、Dorland’s Illustrated Medical Dictionary第30版では、中間的な立場をとり、「エポニムに関しては’sで終わる所有格の形態を用いることが次第に少なくなっており、この辞書でのエポニムの項目では、この使い方の変化を反映したものとなっている。そのため、この辞書では、表記法については、一貫した表記ルールを用いていない。」と述べています。

1.スペリングや発音の観点から、非所有格を用いる場合

●後に続く語が、歯擦音c、s、あるいはzで始まる場合(例、syndrome, sign, zone):
Bitot spots(ビトー斑)
Looser zones(ローザー帯)
Cullen sign(カレン徴候)
Reye syndrome(ライ症候群)
Korsakoff psychosis(コルサコフ精神病)
Schwarnn cell(シュワン細胞)

●エポニムの綴りがce、s、あるいはzで終わる場合:
Betz cell(ベッツ細胞)
Homans sign(ホーマンズ徴候)
Colles fracture(コーレス骨折)
Meigs syndrome(メイジ症候群)
Fordyce disease(フォアダイス病)
Posadas mycosis(ポサダス真菌症)
Graves disease(グレーブス病;バセドウ病)
Wilms tumor(ウィルムス腫瘍)
Grawitz tumor(グラヴィッツ腫瘍)
Yates correction(イェーツの補正)

2.連結や、冠詞の使用で、非所有格を用いる場合

●ハイフンで連結された名前が使われている場合:
Brown-Séquard syndrome(ブラウン・セカール症候群)

●2名以上の名前が使われている場合:
Charcot-Marie-Tooth disease(シャルコー・マリー・トゥース病)
Dejerine-Sottas dystrophy(ドジェリーヌ・ソッタ筋委縮症)

●用語の前に冠詞(a, an, the)が先行する場合:
an Opie paradox
a Schatzki ring(シャッキー輪)

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