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論文投稿先の選び方 ~より確実に掲載されるために~

研究の成果として論文を作成し、発表の場を得ることで、その研究は実績として広く認知されることになります。しかし逆に言えば、論文が掲載されなければ、その研究は実績として見なされないともいえます。
研究成果を論文として作成した以上、掲載されるためにはどのジャーナルを投稿先として選択するかが重要になってくるのです。

投稿先を検討するポイント

論文テーマとジャーナルの分野のマッチング

一流ジャーナルの論文採択率はわずか数%です。投稿不採択になる要因に挙げられるのが、論文テーマとジャーナルの分野や基本方針とのミスマッチです。まずは、ジャーナルのAims and Scope(目的と範囲)をよく読み、それらが満たされているかを確認することが大切です。研究タイプが応用研究であれば、基礎研究や理論研究の論文を多く掲載するジャーナルに投稿したとしても、採択される可能性は低いでしょう。

次に、ジャーナルに掲載されている論文が、どのような分野・種類のものなのか、タイトル、アブストラクトに目を通すことから傾向を判断します。同じようなテーマのジャーナルでも、別の視点からそのテーマを捉えていることもあります。

最適な読者・ターゲット

各ジャーナルには当然「読者」が存在しています。「ターゲット」と言い換えることもできます。その論文を読むことで得られた情報や知識は、誰にとって有益なのかを明確にしておくことが重要です。

例えば、学際的ジャーナルと専門的ジャーナルではターゲットが違いますし、専門的な中にも多分野なのか単一分野なのか、単一分野であればその分野の特化された下位領域なのかで読者は変わります。

さらに、国内、ある地域、世界中なのかといった、どの地域のターゲットが読み手となるのが最適かも考慮に入れるとよいでしょう。研究内容が医療など国や地域の慣習や制度が異なることも多く、地理や文化などの因子が関係する研究の場合はそれらに即したターゲットとなるでしょう。

ジャーナル全体を俯瞰してみよう

査読システムとその期間

ジャーナルによって査読に関する事情が異なります。査読者名と著者名の公開範囲によって、主に3つの種類に分けられます。

一つ目は、「公開査読」といい、査読者名と著者名のいずれもが公開され、査読者のコメントとそれに対する著者の反応が論文に添えられることや、出版後査読をおこなうこともあります。二つ目は、「二重盲検査読」といい、査読者名と著者目のいずれも非公開です。そして三つ目が、「盲検査読」といい、査読者名は著者に非公開(著者名は査読者に公開)となります。

システムの違いや査読者の人数は、研究分野にとって一般的であるか、違和感はないかなどを確認しておきましょう。また、適切な時間をかけて査読をおこなっているかも知っておくべきことでしょう。さらに、査読者の地位や客観性なども、情報収集する必要があります。

ジャーナルの影響力

ジャーナルの認知度や影響力も選択の上での重要な要素です。インパクトファクターを始めとする量的指標は考慮に入れるべきもののひとつではありますが、そのものを見るだけでは判断できない点であることに注意が必要です。論文引用率の価値や引用件数もしっかりと検討する必要がありますし、異なる領域のジャーナル間での比較には不向きであるともされ、その信頼性を疑問視する声も出ています。

近年では新しい評価指標として「Altmetrics」や「EigenFactor」が登場していますので、そちらも検討材料にするとよいでしょう。

掲載までの時間、コスト

ジャーナルの発行が、年間どのくらい行われているのかも、検討材料の一つです。査読期間や編集プロセスなどにも関わりますが、発行回数によってはタイムリーに掲載されないこともあります。実際のジャーナルの掲載論文には、論文の受取、採択、掲載の日付が記されていますから、そこからある程度推測することが可能です。

また、ジャーナルがオープンアクセスなのか印刷物なのによっても、掲載までの待ち時間が異なります。それらの確認と同時に、掲載に要するコストについても予算に応じて検討するべき内容となるでしょう。特にオープンアクセスジャーナルの場合は、著者の費用負担は大きくなる傾向があります。

論文投稿先選びは慎重に

研究成果を詳細にまとめた論文は、投稿すれば終わりではありません。より多くの人の目に留まり、自分の研究が実績として認められるようにするためには、さまざまな方向から「投稿先」を検討する必要があります。そこで採択され掲載されることで、その研究は大きな意味を持つことになります。

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