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グリーンOAとゴールドOAとは?

研究論文を、ネット上において全文無料で閲覧できるオープンアクセス(OA)化を充足させようという動きが、アメリカやイギリスなどを中心に進められていますが、我が国ではまだ本格化していません。しかし、昨今の購読論文の価格高騰問題も含めて考えると、論文のOA化は、これからの時代の研究成果共有において必要不可欠であります。今回は、論文のOA化において主流となる、グリーンOAとゴールドOAという2種類の形式について解説します。

論文著者らの意思で論文を公開するグリーンOA

一般にグリーンOAというのは、論文を執筆した著者らが自分の意思でその論文(完成版)を、自分自身の開設したWebサイトや自分の所属する研究室・研究機関などのWebサイト上に置き、誰でもインターネットを通じて無料で読めるようにしたオープンアクセス論文のことを指します。人によってやり方は異なりますが、よく使われる手段としては、その論文のPDFファイルをホWebサイト上の研究業績リストなどに上げておき、誰でもすぐにダウンロードして全文を読めるようにする方法が挙げられます。他にも、論文の全文が載っているページにリンクを貼る形で、全文が読めるような形式にしたものも見られます。ただ、注意すべき点は、一般に購読制学術雑誌にはエンバーゴと呼ばれる情報解禁日時というものが定められており、その雑誌出版社が定めた解禁日時よりも早くその論文の全文を他のリポジトリや、アグリゲータなどに掲載するような事は禁止されています。そのため、自著論文を全文でOA化してPRしたい場合は、掲載雑誌で規定されている情報解禁日時をよく確認し、その出版社が定めた規則に反しないように気を付けなければなりません。

このように、グリーンOA形式の論文というものは、一般に有料購読制の雑誌に掲載された論文が対象であるため、著者らが出版社に対して論文掲載料を支払う必要はありません。その代わり、そういった論文は、本来は読者が料金を払って論文(あるいは雑誌)を購入する形で入手しなければなりません。なので、著者らの意思で自著論文をOA化し、自分の研究成果を無料で全世界の人々に広く見てもらうことができるグリーンOAというやり方には、大きなメリットがあると言えます。ただし、前述の通り、購読制雑誌に定められたエンバーゴの規定により、グリーンOAの場合は、新規に掲載された自著論文をOA化するまでに、一定の期間待たなければならず、次項で述べるゴールドOAに比べると、情報の公開が遅れるというデメリットもあります。

オープンアクセスジャーナルに論文を掲載するゴールドOA

雑誌の出版会社が直接運営するWebサイトに、投稿論文をオープンアクセスとして掲載するのを、ゴールドOAと言います。オープンアクセスジャーナルというのは、グリーンOAの場合とは異なり、読者からは料金を取らず、論文を投稿した著者らから掲載料金を得る形で運営がなされている学術雑誌のことです。ゴールドOA形式の論文の場合は、受理が決定した時点で迅速にOA化され、全世界のインターネットユーザーが無料で全文を読む事ができるようになります。ゴールドOAの場合は、グリーンOAとは違って、論文投稿者らが自分達で出版社に料金を払わなくてはならないという経済的負担はあるものの、一般に論文の受理からネット上での掲載までの期間グリーンOAの時よりも短く、スピーディーに論文をOA化できるという大きなメリットがあるのです。

論文の著作権のルール付けも的確に行おう

研究論文も書物という存在である以上、著作権というものが全ての論文において存在しています。近年は、論文の著作権をめぐるトラブルを未然に防ぐことなどを目標に、投稿論文の著作権を著者らの手で明確に定めたグリーンOA形式で公開される論文に関しても重要です。自分自身の研究論文をグリーンOA化する研究者は、トラブル防止を常に視野に入れ、クリエイティブ・コモンズのライセンスなどに乗っ取って、自著論文の他者による引用などといった再利用におけるルール付けを、予めWebサイト上などで的確に行っておいたほうが良いでしょう。

参考文献

クリエイティブ・コモンズ

Elsevierオープンサイエンス「オープンアクセス」

SPARC Japan NewsLetter NO.11 2012年1月特集記事1「商業出版社のオープン・アクセス戦略」

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