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ハゲタカジャーナルに関わらないために

2018年9月、いわゆる「ハゲタカ出版社」が出すジャーナルに、日本から5000本以上の論文が投稿されていたという報道がありました。改めて、ハゲタカ出版社・ハゲタカジャーナルの問題を取り上げます。

研究者が意図的に投稿するケースも

2018年9月3日付けの毎日新聞は、特定の研究者がハゲタカジャーナルに繰り返し投稿するケースが複数見つかったと報じました。

粗悪学術誌:論文投稿、日本5000本超 業績水増しか – 毎日新聞

これまでハゲタカジャーナルの問題は、出版社によって研究者が餌食にされる、つまり被害者になるという構図でした。ところが今回の報道は、研究者がハゲタカジャーナルを利用して業績を大きく見せようとしている可能性を示したのです。

ハゲタカジャーナルへの掲載数が多いとされた九州大学は、毎日新聞の取材に対して、ハゲタカジャーナルに論文を投稿しないよう指導を始めたという主旨の回答をしました。

ブラックリストとホワイトリストを活用する

ハゲタカジャーナルに関わらないためにはどうすればよいのでしょうか。

かつて、米国コロラド大学デンバー校図書館のジェフリー・ビオール(Jeffrey Beall)氏が作成した、ハゲタカ出版社とハゲタカジャーナルのリスト、通称ビールズ・リスト(Beall’s List)が公開されており、このリストにないかどうかでチェックする方法がありました。

ビールズ・リストは2017年1月に突然閉鎖されましたが、匿名の人によってビールズ・リストをコピーしたものがインターネット上に複数公開されています。中でも Beall’s List of Predatory Journals and Publishersというウェブサイトは、寄せられる情報をもとに、新たにハゲタカ出版社・ハゲタカジャーナルが適宜追加されています。

上記は「ブラックリスト」でチェックする方法ですが、投稿先のジャーナルが「ホワイトかどうか」をチェックする方法もあります。大手出版社が協力する 「Think. Check. Submit.」というウェブサイトで、投稿先が真っ当なジャーナルかどうか、チェックリスト形式で確認できます。

投稿先を見つけるヒント集のWebサイト「Think. Check. Submit.」

こうした情報を使って、研究者一人一人が判断することが求められるようです。

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