論文がアクセプトされない理由—ジャーナル選択、フォーマット、研究デザイン—
論文投稿では、リジェクトやメジャーリバイスは決して珍しいことではありませんが、著者の努力で事前に回避できることは多くあります。今回は論文執筆時に注意すべきことについて、ジャーナル選択、フォーマット、研究デザインの観点から紹介します。
研究内容に最適なジャーナルを選択する
誰もが高インパクトファクターのジャーナルに掲載されたいと思うはずです。しかし最も大切なことは、論文の内容がジャーナルのコンセプトに合致しているかどうかです。研究分野との合致は当然ですが、例えば臨床研究を重視するのか、機序の解明を重視するのか、コンセプトの確認は必須です。
ジャーナルのウェブサイトにある紹介ページだけでなく、実際に掲載されている論文をいくつか読むことで、ジャーナルの特徴を抑えることができます。ジャーナルの特徴を元に投稿先を選びましょう。
フォーマットと投稿規定を遵守する
多くの著者が犯す単純ミスのひとつが、フォーマットや投稿規定を無視してしまうことです。フォーマットや投稿規定はウェブサイトに明記されているので、必ず執筆前に確認しましょう。
フォーマットや投稿規定を無視した論文は、査読に回される前に修正が要求されるかもしれません。著者と編集者、お互いに手間がかかってしまうので、フォーマットや投稿規定を遵守しましょう。不明点は事前に問い合わせることで、このタイプの修正は回避できます。
研究デザインを入念に準備する
適切なジャーナルに、フォーマットと投稿規定に従って投稿しても、研究デザインに不備があればアクセプトされないでしょう。特に医学や生物学の研究では、サンプル数の少なさ、不適切なサンプルの選択は、致命的な欠点になりえます。
この欠点の唯一の解決策は、研究の初期段階で入念に計画を練ることです。自分の研究ではどのような方法が最適なのか、さまざまな文献から読み解くことが大切です。
なお、有意差があることを導きたいからといって、一部の実験結果を意図的に省いたり、逆に有意差が現れるまで不自然に実験を繰り返したりすることは「pハッキング(p-hacking)」と呼ばれ、近年、米統計学会が批判しています(The ASA’s Statement on p-Values: Context, Process, and Purpose)。これらも不適切な研究デザインと見なされます。
統計処理に関しては統計学の専門家に相談し、自分の研究計画や得られたデータが統計学的な説得力をもっているか、アドバイスしてもらうことも有効でしょう。