2022 OA ReportとOAファクトシートから見るシュプリンガー・ネイチャー社が著者にもたらす恩恵とは
シュプリンガー・ネイチャー社は2023年9月6日、OAジャーナルに関する分析をまとめた年次報告書「Springer Nature’s 2022 OA Report」を公開しました。報告書の概要はこちらからもご覧いただけます。この年次報告書は昨年に続き2回目であり、今回はハイブリッドジャーナルと完全OAジャーナルを対象範囲としています。同年7月に公開されたファクトシートとあわせて、同社が著者にもたらす恩恵を詳しく見ていきましょう。
Springer Nature’s 2022 OA Reportに見るOAジャーナルのインパクト
「Springer Nature’s 2022 OA Report」では、著者がシュプリンガー・ネイチャー社のOA出版を利用した場合のインパクトについて報告されています。同社のOAジャーナルから出版された論文は2年連続で最多の被引用数となっており、2022年の完全OA論文の累積被引用数は過去最高の約400万件に達しました。同社のハイブリッドジャーナルから出版されたOA論文についても同様に最高の総被引用数となり、平均被引用率は6.6となっています。いずれの結果からも、同社のOA出版を利用することで高いインパクトを得られ、著者は恩恵を受けられるということがわかります。
また、同社のOAコンテンツをダウンロードして利用したユーザーの数も年々増加しています。2022年は完全OAジャーナルで前年比10%増、ハイブリッドOAジャーナルでは前年比15%増と大きく伸びていました。
2022年にはさらに、転換契約によって出版されたOA論文の数が、同社のハイブリッドジャーナルにおいて著者がOA出版を選択した論文の数を3倍も上回りました。転換契約によるOA出版の増加が、成長を後押ししているといえるでしょう。
ファクトシートに見るOAの効果と意義
2023年7月に公開されたファクトシートでは、著者にとってのOAの意義として、「研究のビジビリティーと利用が向上し、キャリアアップを支援する」とされています。例えば、OA論文はそれ以外の論文と比べて被引用数は1.6倍、オルトメトリックによる注目度は2.5倍となっています。OA出版された書籍も、それ以外の書籍と比べて被引用数は50%増、オルトメトリックによる注目度はなんと10倍にも上ります。
さらに、ファクトシートでは同社の転換契約が世界各国の「3,500以上もの機関の研究者を支援している」ことも示されています。転換契約は、あらゆる学問分野、あらゆる規模の研究機関において、OAに移行するための持続可能かつ公正な方法であり、最も実績があるとしています。
SDGs関連のOA出版も増加している
同社はSDGsに関するテーマのOA論文およびOA書籍についても高い実績を誇っています。SDGs関連論文のうち48%以上がOA論文として出版されていること、SDGs関連のOA書籍を最も多く出版したことなどを挙げ、社会全体にとってもOA出版は意義があるとしています。
同社は、2024年末までにすべての一次研究のうち半数をOAにすることを目指しています。今後もシュプリンガー・ネイチャー社の動向に注目しましょう。
参考文献
Springer Nature Advancing OA — Advancing the transition to open access (OA) Springer Nature’s 2022 OA Report
Springer Nature Group — Publishing open access with Springer Nature delivers highest global usage and benefits for researchers
Springer Nature — 【プレスリリース】世界で最も利用数が多く、研究者にメリットをもたらすシュプリンガーネイチャーのオープンアクセス出版
Springer Nature — OAファクトシート
Springer Nature – FACT SHEET