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オープンアクセスジャーナルがもたらすさまざまなメリットとシュプリンガー・ネイチャー社の実績

シュプリンガー・ネイチャー社は、20年以上にわたって学術論文のオープンアクセス(OA)化に取り組んできました。同社が2022年2月に公表したファクトシートをもとに、OAジャーナルで出版することのメリットやこれまでの実績を紹介します。

オープンアクセスジャーナルのメリット

OA論文は、購読型ジャーナルに掲載されている論文と比べ、閲覧回数や被引用数が多いのが特徴です。OA以外の論文と比べて、OA論文のダウンロード数は約6倍、被引用数は約1.6倍、論文の評価指標であるオルトメトリクススコアにおいては、注目と関心(attention and awareness)のスコアが約4.9倍となっています。購読型ジャーナルにアクセスできない市民もOA論文ならアクセスしやすいので、より幅広い読者に関心を持ってもらう機会が増えます。つまり、OA論文で出版することは、研究者にとって研究成果の情報発信力が高まるというメリットがあるのです。

さらに、研究データを公開することで、研究の再現性や科学的記録の健全性が向上し、さまざまな国や機関に属する研究者たちが共同研究を行うことが可能となります。また、複数の学術分野にまたがるOAジャーナルによって学際的な交流が増えたり、国境を越えたグローバルな共同研究がしやすくなったりすることも期待できます。

OAジャーナルやOA書籍は、国際的な主要な資金調達ポリシーに準拠しています。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与され、出版後も著者が著作権を持つことになるので、研究者は過去の研究をもとにした新たな研究にも迅速に取り組むことができます。

このように、OAジャーナルを推進することで学術研究のさらなる発展に寄与する可能性があるのです。

シュプリンガー・ネイチャー社のこれまでの実績

シュプリンガー・ネイチャー社は、2014年から転換契約の推進をスタートしました。現在ではオーストラリア、オーストリア、エジプト、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、カタール、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、さらに2022年7月に加わったコロンビアを含め、17か国と国家レベルの契約を締結しています。同社は2,650以上の機関に所属する研究者をサポートし、年間4万本以上のOA出版を実現しています。

2021年には、一次研究やレビュー論文など累計100万本もの学術論文をゴールドOAで出版した最初の出版社となりました。全世界で即時にOA化された論文のうち、約16%が同社から出版されていることになります。同社がOA出版をサポートしてきた研究者は250万人を超え、OA論文のダウンロード回数を章別に合計すると2億回以上にものぼります。同社の取り組みはますます加速し、2024年までに同社から出版する文献の半数をOA出版することを目指すと公約しています。

また、シュプリンガー・ネイチャー社は、さまざまな学術分野のコミュニティと提携し、OAやオープンデータへの移行を推進して研究成果を公開・共有しています。論文の投稿、査読、編集プロセスを著者に公開する論文投稿サービス「In Review」や、研究者を識別するのに役立つORCID(Open Researcher and Contributor ID)との提携など、研究データを共有するOAオプションを研究者や研究機関、資金提供者に積極的に提供しています。

参考文献

Springer Nature — FACT SHEET 2022年2月
Springer Nature — Publishing open access offers a number of benefits
nature asia — オープンアクセス出版のメリット

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※価格は税抜き表記になります