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エルゼビア社による新しいジャーナル評価指標「CiteScore」

2016年12月8日、エルゼビア社は新しいジャーナルの評価指標「CiteScore」の提供を開始しました。ジャーナルの評価指標はインパクトファクターが最も有名ですが、CiteScoreはどう違うのでしょうか。CiteScoreの特徴を紹介します。

インパクトファクターと異なる点

CiteScoreは、抄録・引用文献データベースであるScopusのデータに基づいています。ある年のCiteScoreは、その前の3年間に出版された論文数を分母、その中から対象年で引用された回数を分子として算出されます。例えば最新の2016年のCiteScoreは、2013年から2015年に出版された論分数が分母、2013年から2015年に出版された論文で2016年に引用された回数が分子です。インパクトファクターが過去2年間を対象期間としているのに対して、CiteScoreは過去3年間としているのが第一の違いです。

もう一つの違い、かつ最大の違いは、CiteScoreでは研究論文以外の記事、例えばエディターによる記事や論説、そして逐次刊行物(book series、conference proceedings、trade journals)も計算の対象になることです。

逐次刊行物に寄稿する研究者にとっては、CiteScoreによって寄稿先を評価することができるため、寄稿先を選定したり、自身の活動を評価したりするときの指標になり得ます。

一方、エディターによる記事や論説は引用されることが少ないため、これらを掲載するジャーナルのCiteScoreは相対的に下がることが容易に想像できます。誌面構成が大きく異なるジャーナル同士の比較は難しいかもしれません。

今後の動向に注目

CiteScoreを掲載しているジャーナルはまだ多くありません。例えば、『Lancet』のWebサイトはインパクトファクターと併記していますが、『New England Journal of Medicine(NEJM)』のWebサイトには記載がありません。

しかし、CiteScoreの算出元であるScopusのWebサイトで、画面上部にある[収録誌]からジャーナル名で検索すればCiteScoreを調べることができます。Scopusへの登録は必要ですが、メールアドレスのみで無料で登録と利用ができるのも、インパクトファクターを調べるときの違いです(インパクトファクターを調べるにはJournal Citation Reportsとの契約が必要)。

なお2016年のCiteScoreは、『NEJM』が12.82、『Lancet』が6.93、『JAMA』が6.67と、同年のインパクトファクターとほぼ似たような傾向です。今後どうなるか、しばらく観察する必要があるでしょう。

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