反論に悩む査読コメントに対応する方法
投稿した論文がそのままアクセプトされることは滅多になく、通常は査読者のコメントにしたがって修正することになります。しかし、中には、査読者のコメントに納得できず、どう反論したらよいか悩むこともあります。どのような心構えで、どう対応したらよいのでしょうか。
論理的に、相手に敬意を表しながら対応する
コメントに反論するときに最も大切な心構えは、感情的にならず、論理的に対応することです。仮に査読者に落ち度があったとしても、査読者をおとしめるようなことをしないことが、円滑にやり取りを進めるために必要であると割り切りことが大切です。
例えば、ネイティブスピーカーや校正業者に英文の添削をお願いしたにもかかわらず、「英文の修正が必要」というコメントが付いたとしましょう。Nativeでない査読者も多くいますし、定型的にこの文言を入れる方もおられます。対応は不要だと判断してそのままで再投稿すると、査読者は「無視された」と思ってしまうかもしれません。この場合には、ネイティブスピーカーや校正業者に、軽微な修正をお願いするのがベターとなります(英文が間違ってなくても表現を変えることはできます)。
また、論文の内容を批判されたときには、明確なエビデンスをもって反論します。自分の推測ではなく、先行研究で自分の仮説を裏付けるものはないか、改めて探してみましょう。また、査読者が別の論文を挙げて批判しているときには、その論文を必ず読むことが必要です。論文を読まずに反論すれば、査読者はよい印象をもちません。論文を読んだうえで、参考文献に入れて文章の中に組み込むか、文章に組み込まない明確な理由を述べて返答するようにしましょう。
強い批判にも論理的に対応する
もし、査読コメントが論文を全体的に批判しており、リジェクトもしくはメジャーリバイスとなった場合にはどうすればよいのでしょうか。
まずは、編集者宛てに、編集者と査読者に感謝を述べ、それから自分の論文がジャーナルに掲載される価値を改めてアピールしましょう。過去にそのジャーナルに掲載された関連論文を引用し、研究手法や考察などが決して見当違いでないこと、査読者のコメントは一部正確でないことなどを、論理的に説明します。このときも、感情的にならず、正確な表現を心がけることです。多少の手間がかかっても、ネイティブスピーカーや校正業者に返答文をチェックしてもらうことで、相手によい印象を与えることができます。
それでも、自分の納得できる回答が得られない場合には、別のジャーナルに投稿するという切り替えも必要です。その際、査読コメントを参照に、修正するとクオリティが上がりそうなときには書き直しを検討してください。当然ですが、投稿先の書式(参考文献のフォーマットなど)に合わせて変更することを忘れないようにしましょう。