シュプリンガー・ネイチャー社のフルオープンアクセスジャーナルのインパクトについて
シュプリンガー・ネイチャー社の報告書によると、同社のフルオープンアクセス(OA)ジャーナルで論文を出版した場合、競合他社で出版する場合と比べてより大きなインパクトがあることが判明しました。ハイブリッドジャーナルおよびフルOAの出版社からアクセスできる一般的な公開データについて、ダウンロード回数、引用回数およびJCRの掲載カテゴリ数の具体的な数値を比較した報告書をもとに、同社のフルOAジャーナルの有用性をご紹介します。
この記事では『民間企業の研究活動に関する調査報告2021』の中から雇用状況に関する調査結果の概要をまとめながら、民間企業による博士号取得のサポートについてご紹介します。
ダウンロード回数は平均7,100 回以上、引用回数は平均7.39回、JCRの掲載数は139カテゴリ
シュプリンガー・ネイチャー社のフルOAジャーナルで出版された論文は、平均7,100 回以上もダウンロードされています。競合他社の論文は平均1,500回なので、最大で5倍も多くダウンロードされていることが分かります。
引用回数を比較してみると、競合他社は平均6.0回なのに対し、シュプリンガー・ネイチャー社論文は平均7.39 回も引用されています。より多くの研究者が、同社のフルOA論文を閲覧し、引用していることが分かります。
さらに、世界81か国の出版社から刊行された11,000誌以上の主要雑誌について引用数や被引用数をまとめたJournal Citation Reports(JCR)の掲載カテゴリ数にも差があります。競合他社が106カテゴリに掲載されている一方で、シュプリンガー・ネイチャー社は139ものカテゴリと、より多くのカテゴリに掲載されています。
このように、シュプリンガー・ネイチャー社のフルOA論文は、より多くの人に利用されており、論文の著者およびその著者が属する研究コミュニティにとっても大きなインパクトがあることが分かります。
シュプリンガー・ネイチャー社は今後もOA化を推進していく
本報告書は、シュプリンガー・ネイチャー社によるフルOA出版がどれほどのインパクトを持っているのか、またその多大なインパクトによって論文の著者たちがどれほどの恩恵を受けているのかを具体的な数字として明らかにしました。
同社が提供するフルOAジャーナルは、現在580誌を超えています。さらに、2024年までに同社が出版する論文の半数以上をOA出版にするという目標を掲げています。このほかにも、さまざまな国の大学や学術研究機関との間で転換契約を進めたり、転換ジャーナルを推進したりするほか、ゴールドOAで出版された論文を掲載後すぐに無料で閲覧できるOAプラットフォームなどにも力を入れています。同社が今後も学術論文のOA化を牽引していくことがうかがえます。
参考文献
Discover the amplifying reach and impact of Springer Nature’s fully open access (OA) portfolio
【プレスリリース】新たな報告書により、シュプリンガー・ネイチャーの完全OAジャーナルで出版した場合、競合他社と比較して論文著者の恩恵が大きいことが判明