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論文データベースを活用して引用情報や被引用数を調べる

論文の被引用数は、その研究分野に対して著者がどれだけ貢献しているかの目安となります。数多く引用される論文は、それだけ他の研究者が注目し、参考にしているということです。Google ScholarやScopus、Web of Scienceといった論文データベースでは、その論文がどれだけ引用されているか被引用数を調べることもできます。被引用数が多くインパクトの高い学術資料を探し、参考文献として活用するのはもちろん、研究者自身が出版した論文が何回引用されたかを確認するのにも役立ちます。

Google Scholarの特徴

Google Scholar(グーグルスカラー)は、Googleが提供する学術文献の検索エンジンです。シンプルな検索窓にキーワードを入力し検索すると、学術出版社や専門家協会、オンラインリポジトリ、大学などがオンライン上に公開した書籍や論文、記事などさまざまな文献にアクセスすることができます。会議議事録や研究成果報告書などの非学術的な文献に引用された資料も一様に検索できるのが特徴で、幅広い資料にアプローチしたい場合に役立つツールです。

Google Scholarで任意のキーワードで検索すると、被引用数が多いものがページの上位に表示されます。検索結果の一覧で確認できるのは、論文や資料のタイトル、著者名、出版年のほか本文の一部抜粋などの情報です。また、一覧上に「引用元」として被引用数が表示されているので、いちいち論文の掲載サイトに移動しなくてもどれだけ引用されているのかを把握できます。「引用元」のリンクをクリックすると、その論文を引用して執筆された論文の一覧が表示されるので、関連性の高い文献にアクセスしやすくなっています。

Scopusの特徴

Scopus (スコーパス)は、あらゆる学術分野の逐次刊行物や会議録、書籍などを検索できる抄録・引用文献データベースです。医学・科学技術分野の学術雑誌を多数出版しているオランダの学術出版社エルゼビアが提供しています。古くは1800年代の抄録から、1970年以降の論文については参考文献も収録するなど、8,500万件もの豊富な文献から検索できるのが特徴です。

「被引用数」をはじめとするさまざまな項目で検索結果の並べ替えができるので、目的に沿う論文を探しやすくなっています。また、Citation overview(引用分析機能)は、選択した文献から生成された引用データを検索・追跡することができる機能です。著者ごと、あるいは研究テーマごとに分析対象となる論文グループを自由に選択し、年代別に被引用数を並べ替えて一覧表示することもできます。研究者の過去の実績を確認するほか、ある研究テーマにおいてどのような文献が引用されてきたかを知ることでその分野のトレンドを見通すのにも役立ちます。

Web of Science

クラリベイト・アナリティクス社が提供するWeb Of Science(ウェブ・オブ・サイエンス)は、化学、自然科学、社会科学、芸術、人文科学などさまざまな学術分野から信頼性の高い学術誌資料を厳選して収録した、世界最大級のオンライン学術データベースです。国別あるいは年度別の論文発表者数推移や、被引用数のランキングといったさまざまな統計の根拠にもなっています。自然科学や社会科学分野の学術雑誌の影響力示す指標の一つであるジャーナルインパクトファクターを付与された学術誌を100%収録しているのが特徴です。

検索結果の一覧から、「引用レポートの作成」という機能にアクセスできます。この機能を使うと、検索結果に表示されたすべての文献について、年ごとにどれだけ引用されてきたかを数値とグラフで確認することができます。過去の被引用数の合計だけではなく、それぞれの論文がどの年に何件引用されたか、年平均でどれくらい引用されているかも表示されるので、経年的なトレンドや各分野の引用傾向を把握するのに役立ちます。

各データベースの特徴に応じて使い分けよう

論文データベースによってさまざまな特徴があり、収録されている文献の母数や範囲も異なります。複数のデータベースを組み合わせたり、用途に応じて使い分けたりするのがおすすめです。

また、被引用数がどれだけあればインパクトの高い論文といえるかの目安も、研究分野によって異なる点に注意しましょう。分野によって、発表される論文の数や研究者の数などそもそもの母体の大きさにも差がありますし、過去の研究の歴史や研究が進むスピードも大きく異なります。分野ごとの特性を鑑みつつ、引用数を参考にするようにしましょう。

各ツールへのリンク

Google Scholar
Scopus
Web of Science

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