日本語PubMed検索、ゆるふわ検索など、使いやすさが向上した医中誌Web
研究者にとって、重要な役割を担う文献検索。2020年のPubMedの日本語検索対応など、Web上での文献検索の手法は大きく様変わりしています。
日々追加されていく新しい文献をタイムリーに効率よく収集する方法の一つとして、今回の医中誌Webのリニューアルは大きなポイントとなるではないでしょうか。
医中誌Webの検索機能、大きくバージョンアップ
2022年4月27日、日本のみならず世界中からも文献検索可能な医中誌Webでは、検索機能のバージョンアップが行われました。日本中の医学系学生や医師だけではなく、看護など医学系の研究者にとって、医中誌Webの検索機能は、一度は利用したことのあるものではないでしょうか。今回のバージョンアップでは、第一弾として「日本語でのPubMed検索」や機械学習による「ゆるふわ検索」が追加されました。今後は第二弾として「書籍情報の検索」の機能が追加される予定です。また、医中誌Web にはこれまでにも、検索履歴を掛け合わせて絞込みが可能となる「履歴検索」の機能がありましたが、これは「履歴プラス検索」ボタンに名称が変わり、より使いやすくなりました。
機能の追加だけではなく、画面デザインも大きく変更されましたが、2022年夏ごろまでは移行期間として、2つのバージョンを使い分けることができるようになっています。新バージョンにログイン後、画面トップにあるボタンで旧バージョンとの切り替えが可能です。ただし、新バージョンの推奨環境として、Google ChromeやEdgeなどが挙がっています。Internet Exlorerは推奨環境に含まれない点に注意が必要です。
絞り込み項目の表示方法が変わった「論文検索」
医中誌Webのトップ画面は、従来からの「論文検索」です。今回のバージョンアップに伴い、次のような変更が加えられています。
●絞込項目の表示方法など
・従来のチェックボックスからボタンへ変更され、クリックすると色が変わり確認しやすくなった
・検索結果の画面では、最初から抄録が表示されるようになった
また、検索履歴の掛け合わせは、従来では別ページへと遷移するという仕組みでしたが、新バージョンでは検索条件がポップアップウインドウで表示されるようになりました。
PubMed検索は日本語でも可能
世界中には数多くの文献データベースが存在しますが、中でも医師や研究者にとって欠かせないのは、PubMedではないでしょうか。NIH(National Institutes of Health:米国国立衛生学研究所)のNLM(National Library of Medicine:米国国立医学図書館)によって無料提供されているPubMedは、非常に優れた文献データベースです。ところが、日本人研究者にとって、PubMedを使いこなしていくには、「英語検索」という一つのハードルがありました。その解決策として2020年にPubMedXが登場し、日本語キーワードでの検索が可能となりました。
医中誌Webに追加されたPubMed検索も、もちろん日本語キーワードでの検索が可能です。日本語で入力したキーワードは英語へと自動翻訳され、PubMedで使用されているMeSH(統制後)に関連付けられ、検索が実行されます。検索結果は英語で表示されますが、「タイトル和訳」ボタンで和訳タイトルを確認できます。論文タイトルをクリックすると、PubMed内の当該論文へリンクしますので、実際のMeSHやアブストラクトはPubMedにて確認することができます。
さらに、検索履歴と新しい検索とを組み合わせた機能、「履歴プラス検索」も利用できますので、PubMed内の文献に対する絞り込みも可能です。
機械学習による検索機能「ゆるふわ検索」
今回のリニューアルでは、「ゆるふわ検索」という名称の機能が追加されました。これは、機械学習型エンジンを利用した検索機能で、論文検索で必要となる「キーワード」での検索ではなく、一定量の長文をそのまま入力して検索を行うことで、検索エンジンが文章を分析し、医中誌Webに収載された文献の中から、類似度の高いものを結果として表示します。たとえば、ニュース記事や論文抄録などを、そのまま入力して検索することができます。たとえば、「アルツハイマー」「メマリー」など、ある程度キーワードが限定されている場合は、PubMed検索や論文検索でも可能ですが、看護や保健、心理の分野など、キーワードが限定しにくいときには有効となる検索機能です。
自分が研究したい(研究中)テーマや、考え方が似ていると思われる論文タイトルや抄録の文章などから、まずは検索を実行してみましょう。入力した文章等との類似度が高い順に、検索結果が表示されますので、自分の目的と近そうな論文の情報があれば、そこに付与されたMeSH(統制語)を新たなキーワードとして、論文検索機能からさらに詳細な検索を行うことができます。
順次追加されていく新たな機能
医中誌Webでは、今回のバージョンアップと第一弾としており、第二弾では「書籍情報の検索」が追加される見込みです。また、細かなバージョンアップとして、検索結果の表示件数(論文検索機能)、クリップボードの追加順ソート機能、検索語の入力欄の大きさの設定、収載誌参照からの検索実行などが、順次追加されていくとのことです。